
黒い傘を右手に持って、膝まである長い丈の冬コートを着た50代の男性が、曇り空を真っ直ぐ見てる。
人を喜ばせたいという気持ちが、街や料理の味や香りを2倍にも3倍にも彩り豊かにしてくれる。
一昨日の夜は、9時過ぎに友達と恵比寿で待ち合わせて、スタンディングバーで飲んだの。お店は小さいけど、賑わっていて、カウンター近くに豚の薫製がぶら下げられていて、そこからオーダーを受けるたびにお肉が削ぎ落とされる。
私たちは、白ワインを頼んで、お通しのチーズと鰯を味わいながら、この一週間の話をした。
あの人のあの言葉はどういう意味を持つのかな。
ああなのかな。こうなのかな。
野菜スティックのディップは、ガーリックマヨネーズ味。
さっぱり食べたくてお塩を頼んだ。
女の子の話は12時過ぎても尽きることがないから、魔法を解かす必要もないし、とゆうことでおうちにお泊まり。
髪をドライヤーで乾かしながら、お布団の上で、こんな女性になりたいな、とかイイ香りのアロマオイルの話、仕事の話。
すやすや眠りが近づいてきて、大学のとき各国旅行に行ったときと同じように、安心して寝た。
朝は、私が少し早く起きて、和洋混合にになっちゃったけどお味噌汁とトロロ海苔ごはんと、卵焼きとサラダと、フルーツヨーグルトを出す。
私は、友達の弾くピアノの音が大好きだから、食器洗いしてる間ピアノを弾いてもらったの☆
朝10時の、アヴェ・マリア、月の光。クラシックバレエでいつも踊る、名前の知らない軽やかな曲。
なんて曲だっけ?
あれ、忘れちゃった。
可愛い曲だよね。
うん、好き☆
自然体で幸せな友達と過ごす時間。
その日の夜は、その友達の紹介で行けることになった劇団四季のとある劇。
会社の友達と行く、みんなこの仕事を選ぶだけあって、映画・劇・ミュージカルとか大好き。自由劇場は、紫と黒を基調としたシックな劇場で、イギリスの古い感じのいいホテルみたい。
ふかふかした椅子に座って、少し話をしてたら、幕が上がった。
俳優さん達の通る声が、劇場内に響き渡る。
『間』に、不自然さが生まれた瞬間に、劇は流動性を失い硬化し、世界感そのものが崩れてしまう。
一言の、一音の、呼吸一つで。
とっても脆い、生き物。
掴みきれない『人間』というものを、ある人間が脚本で描いて、ある違う人間が演じて、違う人間が見て感じる。